本の中の世界を描いた物語はよくあるが、「吸い込まれそう」といった感覚をこんなにリアルに体感したのは初めてだ。
今、上野の西洋美術館で「ヴィルヘルム・ハンマースホイ展」が開催されている。
彼はフェルメールの影響を強く受けているだけあって、空間構成がとにかくすごい。
絵を観ていたら、吸い込まれそうになった。
実際に体の重心が前へと前へと片寄っていくのだ。
特に、「旧アジア商会」という作品は、色彩にしろ構成にしろ惹きつけられる。
倒れるかと思った。
ヴィルヘルムの面白いところは、ただの写実ではないところだ。
光の角度に反した影が存在したり、家具の一部が省略されていたりとリアルかつシュール。
何より素敵なのは、作品に描かれている人物はほとんどが背中を向けた女性。
情報の欠如により想像力は刺激され、尚かつ最高に美しい。
それは、均衡のとれた美ではなく、ちょっと崩れた姿勢だったりと人間臭い美しさ。
妻を決して美化して描くことなく、疲れきって腫れぼったい瞼や、浮かびあがった血管をきちんと写す。
生々しい人間が、非現実的な部屋の中にいる図は、舞台セットの中に身を置く役者のよう。
フェルメール以上に演劇っぽい。
こんな描き方をする彼がもう、たまらなく愛しいのだ。
とっても引きこもりなんだろうけど、たまらなく愛しいのだ。
viasxrsqs38047 Eメール URL 2010年12月30日(木)11時06分 編集・削除
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